☆ 「〜と思います」 と「〜と思っています」
「両親は日本の物価は高いと思います」。かなり出来る日本語学習者でもこんな間違いをよくする。でも「私は日本の物価は高いと思います」は間違いではない。いわゆる「〜と思います」と「〜と思っています」の使い方の問題であり、両親の場合は「両親は日本の物価は高いと思っています」と言わなければならない。しかし大部分の生徒さんは「両親」と「私」でどうして言い方が変わるのか合点がいかず、大いに戸惑いが見られる。
こんなこと我々日本人にしてみればごく当たり前のことだが、日本語教育においてはとても大事な決まり事であり、きちんと使い分けてもらわなければならない。
こんな教え方をしている。いわゆる第一人称「私」のときは「〜と思います」を使い、第三人称例えば「田中さんやトムさん」などのときは「〜と思っています」を使ってくださいである。例として「私は来年日本に行こうと思います」であり「トムさんは来年日本に行こうと思っています」である。文法的にはそんなに難しくはなく、これにて一見落着と思ったのだが、大きな落とし穴が待っていた。
上級者からこんな質問を受けてこちらが戸惑ってしまった。
「私は来年結婚しようと思います」と「思っています」の違いはなんですか、 どちらの方が結婚する確立は高いんですかである。
うーん。思わず唸ってしまった。 確かに「私」の場合は両方使える、さてでもその違いは・・・、なかなか難しい。
日本語教師養成講座の受講生に聞いてみたのだが、「思います」のほうが結婚する確立は高いという人もいれば、「思っています」のほうが高そうとの意見もあり人によってまちまちである。 でもそんな確立の問題だけではなく、 違いは確かに分かりにくく複雑だが、でも我々日本人は間違いなくちゃんと使い分けているのである。
例えば後ろに「でも、彼がいないから無理かもね」などの感情を述べる文が続く場合には必ず「来年結婚しようと思っています」を使うのでは。 事実「雨が降る」などの自分ではコントロールできないような事柄については「あした雨が降ると思っています」はとても不自然である。 しかしあした雨が降るか降らないか、お金でも掛けている場合には「私はあした雨が降ると思っています」のほうが逆に自然な感じがする。
このように「〜と思っています」は何かいろいろな心の動きを表現したいときなどにふさわしい言い方であり、 一方「〜と思います」はただ単に自分の気持ちを感情抜きで断定したいときなどによく使うものだと思います。でも言い方やイントネーションなどによってもすごく異なってくるものと思っています。
先生、「彼と別れようと思います」と「彼と別れようと思っています」とどちらがいいですか。
もう勝手にしなさい・・・
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