☆ 文末の「ね」は難しいね !
日常会話において「今日は暑いですね」などのように文末に「ね」をつけることが
よくある。我々日本人はそんなことほとんど気にせず自然に使っているのだが・・・
相手に親しさを表しながら同意を求めているのである。
でも日本語学習者にはとてもややこしい。「今日は暑いですね」と言って、相手
が「はい、暑いです」と「ね」をつけずに答えるとかなり不自然なそして冷たい感じの
会話になってしまう。やはり「はい、暑いですね」と「ね」をつけなければ落ち着か
ない。
一方、相手に確認するときの例えば「留学生ですね」に対して「はい、留学生で
すね」と「ね」をつけて答えると、今度はとてもおかしな会話になってしまう。この
場合は「ね」をつけずに「はい、留学生です」が自然である。こんなこと日本人に
してみればごく当たり前のことだが、日本語学習者にすれば確かに難しい。
中級レベルになるとなるべく自然な会話をしたくなり、「ね」をつければすべて自
然な会話になると思って、どんな場合でもこの「ね」をつけてしまう学習者が多い。
例えば「きのう私はおすしを食べましたね」「あした私はスタンレー公園に行きま
すね」などである。本人は一生懸命親しさを出そうとしているのだが・・・。この
ような場合は逆効果である。「そんなこと知らないよ」と怒られてしまうかもね。
確かにこの「ね」は会話に親しさや柔らかさを出すにはとても効果的であるが、
使う場合と使わない場合がとても難しい。例えばお礼の挨拶である「ありがとう」に
「ね」をつけた「ありがとうね」であるが、もちろん目上の人にはほとんど使わない
が、我々日本人はそれなりに見事に使い分けている。親しみを込めた強いお礼を
述べたい場合は「ありがとう」よりは「ありがとうね」のほうがはるかに効果的で
ある。でもイントネーションを変えることによって、皮肉まじりの軽い感じを表現し
たいときにも使う。これは確かに中級レベルの生徒にはとても難しい。
また依頼のときや誘いのときなども「ね」をつけると効果的である。「またお願い
しますね」「また一緒に飲もうね」などである。確かに会話に親しさや柔らかさを
表す効果がある。
さらに「日本語は難しいですか」や「どんな日本料理が好きですか」などの質問に
「そうですね」を最初に言うととても会話らしい会話になることも教えたい。でも
教え方がまずいと「Aさんはいくつですか」の答に「そうですね、私は25歳ですね」
こんなおかしな表現をする生徒も出てくるので教師としては要注意である。
「のどが渇きましたね、ビールでも飲みましょうか」の答に「いいです」と
「いいですね」では「ね」がついただけで、全く反対の意味になってしまう・・・、
もう日本語教師はいいです。
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