☆ 「義捐金」か「義援金」か・・・?
想像を絶する地震、津波災害に日本人として居ても立ってもいられない気持ち
です。心よりお悔やみ、お見舞いを申しあげます。そして一日も早い復旧、復興を
お祈りいたします。
「先生の家族や友達は大丈夫ですか・・・」や「何か出来ることありますか・・・」
などたくさんの生徒さんからメールや電話をもらい、改めて日本語教育を通しての
心の絆に有難さを強く感じています。
日本の方から先日こんな質問を受けました。「義捐金」も「義援金」も両方使わ
れているけど正式にはどっちが正しいのか・・・。これは大きな災害などが起きた
ときによく出てくる話題です。いろいろ調べてみますと、正式には「義捐金」です。
「捐」という漢字は、「捨てる・投げ出す」という意味があり、「義捐金」とは「大義の
ために投げ出す金」という意味として明治時代に作られた和製漢語とのこと。
しかし戦後の漢字制限でこの「捐」の漢字が当用漢字に含まれなかったので、
本来の正式な表記は「ひらがな」を使った「義えん金」だったのですが、新聞社など
が同じ発音の「えん」を「援助」などの「援」に置き換えて「義援金」という表記が
出来たと言われています。
確かにこの「捐」という漢字は常用漢字ではないので現在ではほとんど使われず、馴染みのない漢字です。でもコンピューターなどで「ぎえんきん」を変換すると最初
に「義捐金」が出てきますし、辞書によってはまだ本来の「義捐金」しか載ってい
ない辞書もあります。
確かに「義捐金」には「義のために投げ捨てる金」であり、見返りなどは微塵も
感じませんが、「義援金」のほうには何となく恩着せがましさを感じる方も
いらっしゃるのでは・・・。
当初から「義援金」も使っていいとされていたようですが、1995年の阪神淡路
大震災のときなどはまだかなり「義捐金」も使われていました。しかし今回の
東日本大震災ではほとんど「義援金」になってしまいました。いつの日か「義捐金」
は全く使われなくなってしまうのでは・・・。漢字も時代とともに変っていくものだと
日本語教師として改めて痛感しています。私はあえて「義捐金」のほうを使いたい
ですが・・・。
そしていろいろな国で支援活動が行われています。ここバンクーバーでも若者
が中心になって「がんばって、日本」の支援活動を立ち上げており、本当に頭の
下がる思いです。そして積極的に募金活動に参加している日本語上級者とこの
「ぎえんきん」の漢字について話をしていたら、「先生、今は日本円が必要だから
『義円金』のほうがいいですね」 うーん、これには思わず笑ってしまい、気持ちが
なごみました。
そして「僕、日本が大好きです。絶対元に戻ってください」
思わず涙が出てしまいました。
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