☆ 「擬音語」と「擬態語」
日本語学習者にとって「雨がザーザー」や「胸がワクワク」などのいわゆる
「擬音語・擬態語」はとても大変である。何しろ種類がものすごくあるので、
最初は「まごまご」そして「いらいら」してしまい・・・、日本語教師として学習者の
戸惑いは痛いほどよく分かる。
初級レベルではほとんど導入しないが、中級、上級になるといろいろな
「擬音語・擬態語」が出てくるので、どうしても覚えなくてはならない。先日そんな
上級レベルの生徒達と忘年会を行なった。早速この「擬音語・擬態語」が話題に
なり、ある生徒が、「今日はお腹がグーグーなので、ご飯をモリモリ食べます」と
意識的にこんな表現をした。大したものである。
そして次にこんな嘆きが・・・。「擬音語」と「擬態語」の違いが難しい、である。
でもこの区別は基本的にはそんなに難しくはない。まず「擬音語」は文字通り
自然の音をまねて作った言葉であり、犬の鳴き声の「ワンワン」やベルの音の
「リンリン」などである。これは国によって表現の仕方はいろいろ異なるが、
どこの言語にもあり、学習者にはそれほど違和感はない。
一方「擬態語」は物事の状態や様子などを音で表した言葉である。例えば
「もりもり食べる」や「彼女といちゃいちゃする」などで実際の音ではなく雰囲気を
音で描写しているのである。これは日本語の大きな特徴であり、数も山ほどある。
この「擬態語」は英語などにはほとんどないようで、学習者にはとてもやっかい
である。
また区別も例えば「ドアをどんどん叩く」の「どんどん」は擬音語だが、「日本語が
どんどんうまくなる」は擬態語である。日本人にとっても結構ややこしいものも
あるので、そんな区別は全く必要なく、「擬音語・擬態語」と一つにまとめて
「音の言葉」として教えている。
冒頭の「お腹がグーグーなので、モリモリ食べます」は「お腹がとても空いている
ので、たくさん食べます」などよりは、はるかに分かりやすく、この「音の言葉」を
使えばいろいろ豊かな表現が出来るようになる。確かに「電話をガチャンと切った」
といえば状況がすぐ浮かんでくる。やはり日本語においてこの「擬音語・擬態語」は大きな役割を持っており、上級者になればどんどん活用してもらわなければ
ならない。
確かに一見難しいように思えるが、たとえば「笑う」を例にとると、日本語は
「げらげら笑う」「くすくす笑う」「にこにこ笑う」など全て「笑う」という一つの動詞で
表せるが、英語ではそれぞれ別の動詞を用いなければ表現できないのでは・・・、
慣れれば擬態語はすばらしい。
ビールは「グー」と、日本酒は「ちびちび」飲んで、最後にうどんを「つるつる」
食べて、「わいわい」「がやがや」ととても楽しいた忘年会でした。
良いお年を・・・。
|