☆ 「い抜き言葉」とは・・・?
ブログが大流行である。インターネット上の日記とでも言うのだろうが、いろいろな人が
ブログを書いている。そしてインターネットを通して全く見知らぬ人のブログでも簡単に
見ることが出来る。
従来は日記など人に見せるものではなかったのだが・・・。日本語教育においても
「友達に日記を見られた」と困ったときの受身文を教えるときにとても役立つ例文であった。しかし最近は「友達が日記(ブログ)を見てくれた」と教えたほうが良さそうである。
いずれにせよこのようなブログや携帯メールなどの出現により日常生活の中で文章を
書くことが多くなり、日本語にも大きな変化が見られる。すなわち「話し言葉」と
「書き言葉」の差がほとんど無くなってしまった。ブログなどはもちろん日記感覚で
書くのだから当たり前なのだろうが、話し言葉をどんどん使って書いている。
その一つの例として「食べてる」「飲んでる」である。本来は「食べている」や
「飲んでいる」のように「い」が必要である。しかしこの「い」を抜いてしまって「食べてる」
「飲んでる」「教えてる」のような・・・、いわゆる表題の「い抜き言葉」である。
日本語教師としてはこの「い抜き言葉」を当然意識しなければならない。しかし
一般的には「食べれる」などの「ら抜き言葉」と違ってほとんど話題になっておらず、
知らない方も多いのでは・・・。もちろん日本語教育では「〜ている」を導入して
「食べている」「飲んでいる」と教えてる、ではなく、教えている。
この「い抜き言葉」であるが、元来「話し言葉」として会話にだけ用いられていたので、
文法的にはほとんど問題にする必要もなかった。新米教師のころから「食べています」と
「食べてます」はどう違いますか・・・こんな質問を何回となくされた。でもその答えとして
「この『食べてます』は会話にだけ使い、また『い』が聞きにくい場合もあるのでそんなこと
あまり気にしないで皆さんはちゃんと『食べています』を使ってください」であった。
しかし最近この会話専用の「い抜き言葉」がブログなどに頻繁に登場してきた。
もちろん意識的に使っているのであろうが、文章として目に入ると学習者はその違いが
何となく気になるのである。
確かに我々日本人は会話において「食べている」と「食べてる」を使い分けている
ような気がする。それは個人差もあり、人によってまちまちであろうが、ちょっとくだけた
雰囲気やふざけた感じを出したいときなどに・・・、「まだ食べてるのーー」や「いつまで
飲んでるのよ!」などの「い抜き表現」のほうが滑らかで自然な感じがする。
しかし日本語教師としてはあくまで「い抜き表現」は話し言葉として用いるのであって、
書き言葉に用いるのはいかがなものか・・・と小言の一つでも言いたいところである。
すると「そんなことよーく分かってますよ。正式なビジネス文書などには決して使いま
せんから・・・。それより日本語上級者には不動産関係の『居抜き』のほうを教えた
ほうがいいのでは・・・」と逆に指摘されそうである。
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