☆ 「ぎなた読み」とは・・・?
日本語教師養成講座の卒業生のお子さん(グレード8、日本では
中学2年生)から、こんななぞなぞを出された。
「女の子がカメラを買いに『カメラください』とお店に入りました。すると
お店の中に動物が三びきいました、その動物はなーんだ?」である。
彼女はカナダ生まれで、もちろん英語が母語だが、お母さんが日本語
教育に熱心で、日本語もかなり上手である。
それは「カメとラクダとサイだよね」と答えたら、「さすが、日本語の先生」
とは言われなかったが、すごくほめられてうれしくなってしまった。
このなぞなぞは日本語の言葉遊びとして知られている一つである。この
「かめらください」を切るところを変えて読むと、「かめ/らくだ/さい」となる。
これは一般的には「ぎなた読み」と呼ばれている。でもこんな言葉、
日本人でも知っている人は少ない。私も日本語教師になってから、耳に
した言葉である。これは「弁慶が、なぎなた持って」と読むべきところを、
間違えて「弁慶がな、ぎなたを持って」と読んでしまい、それから、
切るところ変えて読むことを「ぎなた読み」となったとのこと。
この「ぎなた読み」で、有名なのが「ここではきものをぬいでください」で
ある。これを読んだご婦人が着物を脱ぎ始めたと、いうお話。
「ここでは、きものをぬいでください」と読んでしまったのである。
また、「花子さんじゅうごさい」なども「ぎなた読み」の面白い例として取り
上げられている。「花子、さんじゅうごさい」と「花子さん、じゅうごさい」では
かなり違う。
この「ぎなた読み」、漢字で書けば何も面白くないが、確かにひらがな
だけで書くと分かりにくく、読み違いの面白みもある。日本語教育において
は全く必要ないが、でも助詞の「は」を「wa」と発音させることが、日本語
教師としては大事であり、そのトレーニングに役に立つものもある。
例えば「きみはしらないの?」である。
「きみは、しらないの?」と「きみ、はしらないの?」。
この場合「は」を助詞と考えるかどうかの違いである。
また「はははははいいです」こんな文章を使い、助詞の「は(wa)」を強く
意識させている。「母は歯はいいです」これが分かるようになれば、
しめたものである。
この「ぎなた読み」に関して、江戸中期の歌舞伎、浄瑠璃作家である
近松門左衛門にこんなエピソードがある。文の句読点をないがしろにする
数珠屋の主人に、「ふたえにしてくびにかける」数珠を注文した。そして、
主人は「二重にして、くびにかける」数珠を作ってきた。すると近松は注文
した数珠は「二重にし、てくびにかける」であると突き返し、句読点の
大切さを分からせた、という話である。
この「ぎなた読み」は言葉遊びとして、いろいろ作られており、飲み会
などでのネタとしては、なかなか面白い。「ブラシ忘れた」これをぎなた読み
すると・・・。はい、日本語教師として、精進し忘れないように、頑張る
所存です。
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