☆ 「一段落」の読み方は・・・?
「告別式やお別れ会も無事終わって、一段落しました」こんなメールを送ろうと
して困ってしまった・・・、とある日本の方から表題の質問を受けた。「一段落」の
読み方である。その方はてっきり「ひと段落」だと思い込んでいたとのこと。
確かにこの「一段落」の読み方は我々日本人にとってもややこしい。かなりの
人が「ひと段落」と読んでいるが、正式な読み方は「いち段落」である。その人も
辞書を調べたら「ひと段落」は載っておらず驚いてしまったようである。
以前にも書いたが、この「一」の読み方はとても複雑でややこしいのだから
生徒にとってはとても大変である。基本的には「音読み」か「訓読み」かを考えれ
ばいいのだが・・・。原則的には音読みの前は「いち」で、訓読みの前は「ひと」、
当然である。
「面識」は音読みなので「一面識」は「いち」であり、「休み」は訓読みなので
「一休み」は「ひと」である。すると「段落」は音読みなので「いち段落」が原則であり、正式とされている。
確かに「一夜」は「音読みであれば「いちや」であり、訓読みであれば「ひとよ」で
ある。しかしそう簡単に原則通りいかないからとてもややこしい。例えば「一安心」
であるが、これは音読みであるから原則は「いち安心」だが、「ひと安心」のほうが
一般的である。辞書にも「ひと安心」しか出ていない。「工夫」などもそうであり、
「ひと工夫」のほうが馴染みがある。
例外だといえばそれまでだが、「一段落」も「ひと安心」などの影響を受けて、
「ひと段落」を使う人が多くなってきたのであろう。言葉は時代とともに変化していく
ものであり、その時代の使う人々の考え方で変化するのは当然であり、「ひと段落」もすでに間違いとは言えないのかもしれない。「ひと安心」と同じように・・・。
上級者には音読みの場合でも「安心する」や「工夫する」などのように動作を表す言葉には「ひと」のほうがいいですよ。「苦労」も「ひと苦労」だから・・・。でもこんな
ことあまり気にせず勉強してください、が本音である。
確かに日本人は両方の読み方がある「一夜」も音読みの「いちや」と訓読みの
「ひとよ」では感じ方が違う。世代差や個人差も大きく影響してくるので生徒には
この違いは難しい。
そして「一」の書き方だが、訓読みの「ひと」の場合は漢字の「一安心」より
ひらがなの「ひと安心」と書いたほうが分かりやすい。「一思い」や「一休み」なども
漢字で書いてあると分かりにくい。生徒には「ひと思い」や「ひと休み」のほうがいい
ですよと教えている。
「一押し」のこの教科書を使ってもう「一押し」日本語の勉強頑張ってください。
疲れたら「一呼吸」して、「一休み」してもいいですよ。
「一」の読み方のお遊びテストである。
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