矢野アカデミー

バンクーバー新報投稿エッセイ

外から見る日本語 107


☆ 「4」と「7」は難しい・・・?

「日本語の数字の数え方は行きと戻りでどうして変わるんですか・・・」こんな感じの
質問を日本語教師になってから何回となくたずねられた。でも最初に質問されたときは、
質問自体何の質問だか全然分からなかったのであるが・・・。

でも確かに1から10まで数える場合大部分の日本人は指を折りながら「いち、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち、きゅう、じゅう」であろう。しかし10から戻る場合は「じゅう、きゅう、
はち、なな、ろく、ご、よん、さん、に、いち」になる人が多いのでは・・・。うーん、確かに
「しち」が「なな」に、「し」が「よん」に変わる人が多いと思う。でもどうして・・・。そんなこと
日本語教師になりたてのときは考えもしなかったので、とても困ってしまった。生徒には
「4」と「7」には二つの読み方があるから覚えてくださいであるが、確かに生徒にしてみれば
とてもややこしい。

数字の読み方であるこの「イチ、ニ、サン、シ、ゴ、・・・」は漢語式読み方いわゆる
音読みである。また数え方には「ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ・・・」のように日本語式
読み方いわゆる訓読みがあり、「よん」と「なな」はこの数え方から生まれたものである。
「シ」と「シチ」は音読みであり、「よん」と「なな」は訓読みである。こんなこと意識している
人は少ないであろうが、確かにややこしい。

したがって10から戻るときに「ジュウ、キュウ、ハチ、なな、ロク、ゴ、よん、サン、ニ、イチ」
のように音読みの数え方の中に「よん」や「なな」の訓読みが入るのはとても不自然なの
だが、でもどうしてこのようになったのであろうか・・・。

確かに「イチ」と「シチ」の発音が似ているので聞き間違える可能性があり、また「シ」は
「死」と同じ発音で縁起が悪いなどの理由から、「4」と「7」には訓読みの「よん」と「なな」
を加えたと言われている。

確かに「4人」を「しにん」と発音したら問題であろう。また「47円」なども金額をはっきり
するために「よんじゅうななえん」のほうが一般的である。でも「47人」などは「よんじゅう
ななにん」よりは「よんじゅうしちにん」のほうが優勢のようである。いろいろな方にアンケート
してみたのだが、これは方言なども絡んで人によってまちまちであり、生徒にはどちらでも
いいですよと教えている。確かに「しじゅうしちにん」と言う人はいないであろうが・・・。

でも赤穂浪士の「四十七士」は「しじゅうしちし」であり、映画「二十四の瞳」は
「にじゅうし」と読まなければならない。固有名詞ということもあろうが、アラビア数字では
なく、やはり漢字で書いてあるので漢語式の音読みが落ち着くのであろう。

また小学校時代に覚えた「九九」などは「4」や「7」でも4×4は「しし」であり、4×7は
「ししち」と音読みを使って覚えている。またカレンダーの月の呼び方も4月は「しがつ」、
7月は「しちがつ」である。

このように「4」と「7」は確かにややこしくて複雑である。思わず「四の七」じゃなくて
「四の五の言わずに(つべこべ言わずに)覚えよう」と言いたくなってしまう。



戻る  
バンクーバー新報投稿エッセイ 外から見る日本語106
 
Copyright (C) 2008 Yano Academy. All Rights Reserved.